鳥のくちばしのような口と
魚の尾ひれのような尻尾を持つ
奇妙だが可愛らしい哺乳類である。
オーストラリア東部に棲息するこの動物は、
最初に発見された際、
単なる見間違いだと思われていた。
次いで、スケッチ画とくちばし付きの毛皮が
イングランド本国へ送られると、
今度は偽物だと思われた。
ビーバーの毛皮にカモのくちばしを
縫い付けて作られた紛い物だと考えられたのだ。
だが、カモノハシは実在した。
毛皮だけではわからなかったが、
指の間には水かきがあり、
オスの後足には毒爪まであった。
カモノハシの毒は人間が死ぬようなものではないが、
動けなくなるほどの激痛をもたらし、
鎮痛剤を多量に打っても耐えかねるほどだという。
犬ぐらいの大きさの動物であれば死に至る。
さて、この実在が疑われていたカモノハシだが、
哺乳類のくせに卵を産む。
ついでに言うと鳥と同じく総排出孔を持つ。
総排出孔とは尿と糞と卵が出る穴だ。
知れば知るほど胡散臭い生き物だ。
なお、鳥と異なりくちばしは柔らかい。
神経が集中しており、
水中で微弱な水流をも関知し、
目をつぶっていても周囲の状況がわかるという。
珍妙な生物として有名なため、
写真や動画で一度は見たことがあると思うが、
本邦では現物を見ることができない。
オーストラリア政府によって
手厚く保護されているカモノハシは、
海外への持ち出しが制限されているのだ。
ちなみに絶滅危惧種ではない。
手を差し伸べると人懐っこく寄ってくる。
ただし、捕獲すると逮捕されるので
愛でるだけにしておこう。