黄銅とも呼ばれる銅と亜鉛の合金である。
五円玉に使われている。
適度に硬く、適度に伸ばしやすい性質を持ち、
腐食に強いことが特徴である。
様々な加工がしやすいため
複雑な形状の金属製品によく使われている。
また、海水や汚水に晒される環境での
寿命が長いことから、
船舶や水道関係での使用も多い。
青銅と似ているが、亜鉛の取り扱いが難しく、
昔は製造が容易ではなかった。
ところでオレイカルコスの正体は
この真鍮だという説がある。
オレイカルコスという名が耳慣れないかもしれない。
オリハルコンの呼び名で定着しているが、
これはラテン語読みのオリカルクムの転訛である。
山を意味するギリシア語オロスと、
銅を意味するカルコスの合成語である。
オレイカルコスは銅ベースの合金、
もしくは銅に似た金属だと推測できる。
銅に由来する名を持つ地中海のキプロス島は、
最古の真鍮利用が記録された場所だという。
オレイカルコスはアトランティス伝説と
密接に関係する神秘的な金属とされているが、
位置的にもキプロスの真鍮との関連性が高いと思われる。
前述のように亜鉛がネックとなり真鍮の製造は難しい。
黄金の輝きを持つこの合金は
非常に貴重な金属として扱われたことだろう。
なお、ローマ人はオレイカルコスを
価値の高い金属と考えていたようだが、
現在のような神秘性については言及していない。
実は近代のアトランティスブームにおいて、
未知のエネルギー源とされたため、
こうした神秘性が語られるようになった背景がある。
つまり、オレイカルコスは本当は単なる真鍮なのだろう。
神秘的な力は無いかもしれないが、
銅と亜鉛の合金を作ることのできる技術力は侮れない。
ちなみに、本邦では江戸期になってから普及したが、
真鍮自体は平安期の物品にも使われている。
寛永通宝にも真鍮製のものがある。
普及以前に亜鉛の扱いを
理解した職人がいたということだ。
話は変わるが、真鍮といえば楽器である。
私は昔トロンボーンをかじったことがあるが、
あの大きな真鍮製のボディに惹かれてのことである。
管楽器のような複雑な造形を削り出すには、
真鍮はうってつけの素材なのだ。
ぴかぴかに磨き上げられた真鍮の楽器が
ステージのライトできらきらと輝く様は、
まさに夢の如しである。