序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年8月31日金曜日

イナゴ

バッタの仲間の昆虫である。

稲を食い荒らす害虫というイメージが強いが、
そこまで深刻なものではない。

むしろ、食用として貴重な蛋白源となってきた。
ユダヤ教の聖書でもイナゴは食べても良い
生き物として書かれている。

漢字では蝗と書くが、
実はここに大きな錯誤が潜んでいる。

本邦では蝗はイナゴと読み、
前述の昆虫のことを指すが、
本来の蝗はトノサマバッタのことである。

蝗害という言葉がある。
トノサマバッタ、もしくはサバクトビバッタが、
大量発生し、飛蝗という現象を起こした結果、
地域の植物をすべて食べてしまうことだ。

イナゴにそんなことはできない。

漢籍に当たった古の本邦人が、
蝗という生き物について、
穀物を食い荒らす虫という説明を見て、
イナゴのことだと勘違いしたのだ。

それだけではない、近世以降にキリスト教が
やってきた際に、聖書の翻訳で
同じ間違いをやらかした。

というのも、本邦のトノサマバッタは、
環境の影響で大規模な飛蝗は起こさない。

従って、空一面を黒く染め上げ、
ありとあらゆる植物を食い尽くす
蝗害というものが何のことなのか
ぴんとこなかったのだ。

さて、冒頭でも書いたがイナゴは食用となる。
主に佃煮として食される。

蛋白質とカルシウムが豊富で、
害虫駆除のついでに大量に手に入る。
米食文化に不足しがちな栄養が補完できるのだ。

旧約聖書にもあるように、
イナゴは様々な文化圏で食べられてきた。

味は、佃煮でしか食べたことが無いが、
佃煮だと元々の味が分かりにくい。
あれは大抵のものは同じ味になってしまう料理だ。

中東辺りでは網焼きで食べるらしいのだが、
その食べ方ならイナゴ本来の味がわかりそうだ。

節足動物なのでエビやカニのような味が
するのではないかと想像する。
あくまで想像だが。

あまり関係のない話だが、
私はいわゆるゲテモノを食べることに抵抗がない。
虫を食べるのを気持ち悪いとは思わない。

エビカニはいいがシャコは虫っぽいから
嫌だという人が結構な割合でいるが、
カニはクモやダニの仲間である。

クモやダニの仲間が食べられて、
バッタが食べられないというのも
妙な話ではないだろうか。

毒、寄生虫、病原菌の問題が解決するなら、
何でも食べるのがよろしかろう。
それがその地域の文化だというのならなおさらだ。

もっとも、好奇心で一度食べれば十分、
もう食べたくはないなと思ったものは色々とある。
理由は美味しくなかったからである。

もしかすると調理が上手ければ
美味いものもあったかもしれない。