序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月23日日曜日

カベアナタカラダニ

春一番が吹き、暖かい陽気に誘われて、
外を歩いていると気付くことがある。

コンクリートに赤い小さな点。
よく見ると動いている。虫だ。

小さなあれはダニである。
カベアナタカラダニと名付けられている。

コンクリートという不毛な環境を好む
不思議な生き物だ。

彼らは主に花粉を食べて生きているという。
春になると花粉が飛ぶものである。

飛んだ花粉は色々なものに付着するが、
細かな凹凸の多いコンクリートにも
沢山付着している。

あの赤いダニはそれを食べているのだが、
コンクリートを好む理由は他にもある。

競合する者が少ないという利点がある。
コンクリートを好む動物など
人間とダンゴムシぐらいである。

コンクリートに付着した花粉は
カベアナタカラダニが独占できるのだ。

ちなみにカベアナタカラダニには
メスしか見つかっていない。

彼女たちは梅雨に入る頃に卵産むと、
それを抱えたままコンクリートの
苔の中で息絶える。

そして、その卵は翌年の春先に孵る。
春にしか存在しない生き物なのだ。