序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月30日日曜日

アドラノン

エヌゲニアで産出するガラス質の鉱物である。

透明度はサレン湖の水のごとしと謳われ、
永久氷晶と称える詩人もいる。

宝石として見た場合、
硬度が不足するため価値は高くないが、
古くから人々を魅了してきた。

研磨し、動物のトーテムをお守りとして
作るのだが、現在は土産物屋で安く買える。

かつての貴重さは損なわれたが、
エヌゲニアの重要な観光収入源である。

シャーマンに頼めば守護獣を見てくれるので
どうせなら自分のトーテムを購入しよう。

工業的な利用をするには産出量が少ないが、
レンズやプリズムの素材に向いている。
アドラノンプリズムといえば高級品だ。

例によってパワーストーンとして
どのように紹介されているか
見てみたいところだが、
本邦では流通が無いようだ。

なので秘められたパワーやら
浄化方法やらは不明である。

なお、エヌゲニアでは先祖の霊と
交信する媒体として祈りに用いられていた。

伝説として、森の女神が冬の新月の晩に
月を恋しく思い流した涙が凍ったもの
だとされている。

なかなかロマンチックだが、
月を殺したのは森の女神自身である。

身勝手な理由なのでそれで流した涙
というも少し冷えた目で見てしまう。

なお、アドラノンの原石を月にかざすと
人間に火をもたらした狼が見えると
言い伝えられている。