序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月18日火曜日

ダルナビル

エイズの治療薬である。

詳しくはないのだが、アフリカの都市や
地形を紹介する中でエイズ禍のことに
幾度も触れ気になったので調べたことを記す。

エイズとは後天性免疫不全症候群、
つまり免疫細胞がウイルスによって破壊され、
体の免疫が機能しなくなる病である。

エイズは不治の病として知られている。
実際に現在でも完治は困難で、
かつては治療薬も無く絶望的な病気だった。

そんな中、治療薬が発見される。
元々抗がん剤であったジドブジンという薬に、
ヒト免疫不全ウイルスの増殖を抑制する
効果があることが分かったのだ。

発見したのはアメリカの製薬会社
バローズ・ウエルカムに勤めていた
本邦の教授である。

存命のため敢えて名前は挙げないことにする。
ちょっと調べればすぐに分かることでもある。

ジドブジンは製薬会社によって特許が取られ、
高額な薬として販売されるようになった。

エイズ罹患者の多くは富裕層ではない。
つまり、必要な人々には手の出せない薬だったのだ。

教授はこの件について怒ったと言われている。
だが、彼はただ者ではなかった。

新たな治療薬をふたつも開発してしまったのである。

ダルナビルは第三のエイズ治療薬である。
教授はこの薬を発展途上国が特許料を
払わずに使えるよう国際的な機関に登録した。

治療薬の普及により、エイズ禍の蔓延している地域の
人々の平均寿命は大幅に伸びた。

まだまだ根絶には程遠いが、
人類はヒト免疫不全ウイルスに対して
抵抗することができるようになったのである。

ウイルスの進化は速い。
薬への耐性を獲得してしまう。

おそらく教授は今でも
新たな治療薬の開発を進めているのだろう。

いずれ人類史に残る偉大な人物として
その名が記録されることになるに違いない。