序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月29日土曜日

イシクラゲ

海藻の陸上版である。

夏になると雨が長めに降った後、
ようやく傘を置いて出かけられると思い、
外を歩いていると不意に遭遇する。

時には丸い球体、時にはワカメの塊、
種類によって形状は違うが、
コンクリートや砂利の上にぶよぶよした
何かが落ちているのだ。

色は半透明の緑から黒に近い緑まで、
様々あるが、これは一体何なのか、
不思議に思ったことがあるだろう。

子供の頃はあまり不思議に思わず、
そういう苔もあるんだなぐらいに思っていたが、
ある日マンションの屋上部、
当時ベランダとして利用できたその場所に、
かなり大きな扁平な球体が落ちていた。

突っつくとぶよぶよしており、
一体どこから現れたのか、
誰かが何かを高く放り投げて入り込んだのか、
とても奇妙な気持ちになったものだ。

その後、特徴からあれこれ調べた結果、
これがイシクラゲと呼ばれる
藻類であることが分かった。

ただ、ひとつ気になったのは、
資料として見たどの写真よりも
大きく、なめらかな表面をしていたことだ。

ひょっとして別の物体だったのだろうか。
そして、翌日には跡形もなく消えていた。

我が家に現れたイシクラゲらしきものに
ついて紙面を割きすぎてしまった。

一般的なイシクラゲについて話を戻そう。

イシクラゲは海藻の仲間である。
見た目は肉厚のワカメを裂いて
ぐちゃぐちゃにしたものといった雰囲気だ。

雨が降らない時期は乾燥し、
黒っぽい汚れにしか見えない。
彼らはこの状態で長期間生き抜くことができる。

そして、雨によって水分を得ると、
見事に復活するのだ。

実はこのイシクラゲ、食べることができる。
味はワカメと思いきや、アオサノリの
風味を少し落としたようなものだ。

現在では食べられることは少ないが、
昔はキクラゲの仲間として扱っていた。
木クラゲと石クラゲである。

天仙菜の名で漢方薬にも用いられており、
雨後に突如現れる神秘性から
特別な効能が得られると考えられていた。

実際の薬効はよくわからないのだが、
実はウイルスに効くだとか癌に効くだとか言われ、
研究が進められている。

なお、採取して食べる際には
しっかりと洗浄し、茹でてから食べて欲しい。