序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月12日水曜日

テーブルマウンテン

ケープタウンの背後にそびえ立つ
頂上が広く平らな山である。

他の地域にある似た形状の地形も
テーブルマウンテンと呼ばれるが、
単にこう呼んだ場合はケープのものを指す。

その威容は海からでも眺めることが可能で、
まるで巨大な砦か城壁でもあるように見える。

すぐ傍らにはライオンヘッドと呼ばれる
岩山もあり、好対照を成す。

ここは世界有数の観光スポットである。
日々世界中から多くの観光客が訪れる。

ほとんど垂直にも見える崖は
ごつごつと岩がせり出し、
登ることが可能なルートがいくつも存在する。

もちろん、この地を訪れれば
それらの登攀ルートに挑戦可能だ。

ただし、それはロッククライミング同然である。
手掛かりや足掛かりには事欠かないが、
素人には非常に厳しい道のりだ。
道と呼んで良いのなら。

もちろん命の保証は無い。

頂上に上ればそこにはごろごろと岩が転がり、
隙間から草の覗くだだっ広い平原が存在する。

山頂でありながら、まっ平らで広いのだ。
しかも雲と同じ高さである。
まさに天上の世界だ。

振り返れば大西洋の青と空の青が広がり、
眼下にはケープの街並が敷き詰められている。

厳しい崖登りを果たした者だけが見られる絶景、
というわけではない。

至れり尽くせり全周囲見渡し可能な
ロープウェイが存在する。

絶景を楽しみながら雲海の上へと
悠々登ることが可能である。
これが文明の力だ。

そして、山頂のロープウェイ発着場付近には
お洒落なカフェや土産物屋が存在する。

絶景を楽しみながら南アフリカワインを
飲むことだって可能だ。

だが、ワインを飲んだら下りは必ず
ロープウェイを使うことだ。
崖は登るより下る方が危険である。
酔って試みるなど自殺に等しい。

ちなみにテーブルの上には
ダッシーという愛称で親しまれている
ハイラックスという小動物が暮らしている。

他ではあまり見ないような顔つきの
愛らしい動物だ。

もちろん、そこに生える植物も独特である。
実はこの頂上の植物の種類は
ブリテン島の植物の種類より多い。

一見するとちょっとした草しかない荒地だが、
実に多様な生物圏が形成されているのだ。

ケープタウンは見所の多い街である。
アフリカ旅行をするのなら
この地を訪れテーブルマウンテンに登る
ことを目的にしてもいいのではないだろうか。