序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月25日火曜日

安山岩

玄武岩と並ぶ火山岩である。

火山岩とは溶岩が急激に冷えて
固まったものであり、
二酸化珪素を主体とする。

安山岩と玄武岩の違いは、
主体となる二酸化珪素以外の
鉱物の状態にある。

安山岩の場合、溶岩が冷え固まる過程で、
その他の物質が結晶化し、
岩石中に細かく散りばめられている。

どういう見た目なのか言葉で詳しく説明
しようかとも思ったが、良い例がある。
墓石によく使われる黒から灰色の石が安山岩だ。

安山岩の名前の由来はなかなか面白い。
ドイツ人の地質学者がアンデス山脈の調査中に
特定の構造の岩石に対してアンデサイト、
アンデスの石と名付けた。

安山とはアンデス山脈のことだったのだ。

さて、石材として有用であることは
墓石に使われていることからも
想像がつくと思う。

非常に頑強で、産出地や産出量も多いため、
石造建築にはもってこいである。

そんな安山岩にブランドものが存在する。
讃岐岩や本小松石、伊達冠石、本山崎石
などというものだ。

讃岐岩はその名の通り香川で採掘できるのだが、
サヌカイトという安山岩から独立した名が
与えられているほど特殊である。

黒曜石ほどではないが、石器の素材として有益で、
打製石器、磨製石器どちらにもよく使われている。
また、叩くと澄んだ美しい音が鳴る。
ちなみに讃岐ではない二上山でも採掘可能である。

本小松石は神奈川の真鶴の銘石である。
真鶴は小さな漁村だが、この石材によって栄えた。
現在でも需要があるが、
採石量が追い付いていないらしい。

本小松石の墓石は将軍家でよく使われており、
鎌倉にある源頼朝の墓もこの石が使用されている。

伊達冠石は宮城の大蔵山で産出する石材である。
つややかで独特の紋様を持ち、鉄分が多いため、
歳月と共に酸化して赤みを帯びていくのが特徴だ。

伊達冠石も墓石として人気だが、
石像彫刻の材料としても知られている。
独特の風合いが芸術家を魅了するのだ。

本山崎石は最上級の墓石のひとつである。
特徴は経年変化が少ないことである。
いつまでも変わらぬ佇まいが求められる場合には
この石が重宝されることになる。

ただし、山梨の甲府で採石されるこの石は、
現在では供給量が少ない。
ただでさえ高級石材なのだが、
採掘量が少ないことで価格は上がっている。

おそらく採掘コストに見合わず、
生産量が減少しているのだろう。

海外産の安山岩にもブランドはあるようだ。
いずれ石材の本でも出版するようなことが
あれば取材してみたいと思う。

ところで、本小松石とも関係の深い
真鶴の貴船神社の関係者と
個人的に知り合いである。

真鶴の貴船神社は境内の様々なものに
本小松石が使われており、夏に執り行われる
貴船まつりは三船祭のひとつである。

神輿が船に乗り対岸へと向かう特別な祭りのため、
この時期に熱海や湯河原辺りの旅行を
計画しているのであれば、是非行ってみてほしい。