序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月22日土曜日

紙魚

銀色の体を持ち、羽が無く、
変態もしない原始的な昆虫である。

二本の長い尾毛と一本の尾糸があるため、
体の後ろに三本の触角があるように見える。
頭側には二本の長い触角を持つ。

古くは雲母虫と書いて きららむしと
呼ばれていたのだが、これは薄く剥がれた
雲母のような見た目をしているためである。

あまり使われないとは思うが、
俳句の夏の季語にもなっている。

変態をしないため、卵から産まれてすぐに
成虫と変わらない姿をしており、
脱皮を繰り返して大きくなる。

この成長は死ぬまで続き、
触角や足を失った場合は
脱皮の際に再生することができる。

さて、紙魚といえば紙を食らうと信じれている。

和紙の表面や、澱粉糊の部分を食うのは確かだが、
よく目にする穴の開いた本などは
死番虫に食われた跡である。

紙魚の仕業だと思われがちだが、
濡れ衣なのだ。
もっとも、和紙は被害に遭う。

また、衣類の繊維を食うという余罪もある。
紙魚ではなく衣魚と書くことが
あるのはこのためだ。

害虫の類だが、飼育を楽しむ文化もある。
世の中には色々な趣味の人々がいるものである。
くねるように素早く歩く様が可愛いらしい。

ちなみに、このくねる姿が
銀色の光沢と相まって魚のようだ
ということで名前に魚の文字が入る。

羽が無いため飛べず、跳躍力もないため、
引っ掛かりのないガラスやプラスチック
容器に入れておけば逃げ出すことができない。

共食いをせず、縄張り意識もないそうだ。
本邦の気候であれば特に温度や湿度の
管理が必要ないため飼育しやすいのだろう。

なお、天敵は蜘蛛である。
やはり蜘蛛は益虫なのだ。