瑠璃と呼ばれる青い貴石である。
インドでの呼び名ヴェルーリヤが
東方に伝播される際に瑠璃の名へ
変わったと言われている。
ラピスラズリの名は、ラピスはラテン語で石を示し、
ラズリはペルシアのラズワルド鉱山に由来する。
ラズワルドは地名だが、後にアラビア語で
群青色を指す言葉になったのは、
このラピスラズリの色に起因する。
深い青に金色のアクセントのあるこの貴石を
群青の空になぞらえるのは風雅である。
さて、宝石の類は結晶であることが多いのだが、
ラピスラズリは複数の鉱物が混ざり合った石である。
青色の主成分は青金石であり、
含まれる金色の粒は黄鉄鉱である。
他にも藍方石などの鉱物が混然一体となっている。
なお、本邦では非常に稀で、
交易を通して入って来るものも少なかった。
このため、本瑠璃は少なく、
瑠璃色の何かに対して瑠璃の名が
付けられている例が多い。
産出の多い、あるいは流通量の多い地域では
砕いて粉にし、顔料として利用してきた。
ヨーロッパではこの顔料をウルトラマリンと呼ぶ。
合成顔料のような名前だが、
古くから存在する。
これはマリン、すなわち海を超えてやってきた
という意味合いであり、地中海貿易を通じて
もたらされたことを示す。
空の色から海の色へと
イメージが変化しているのが面白い。
パワーストーンとしては価格が
手頃なこともあって非常な人気を誇る。
うたい文句としては
人類が利用した最古の宝石であり、
呪術的な意味で最強の聖石なのだという。
実際にラピスラズリは現在のところ、
確認できる最古の宝飾品に使われており、
各地の伝承でもかなり力のある石とされている。
古代エジプトでも多用されており、
黄金と群青の組み合わせは
エジプトらしいカラーだ。
なので、幸運を呼び込む、邪気を払うなどは
伝統的に言われてきたことでお守りとして
そういった効果を求めるのは良いと思う。
だが、第三の目を開くだの、
カルマを乗り越えるための試練を与えるだの、
一体誰が言い出したのか。
人気のある石ほど色々な場所で突飛なことが
書かれている気がする。
こうしたパワーストーンを取り巻く
俗信を調べ上げ、資料として残しておけば、
後世の民俗学者や宗教学者が喜ぶかもしれない。