序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月17日月曜日

ヴィクトリア湖

アフリカ最大の湖である。
なんと琵琶湖の百倍の広さがある。

本来の名はニアンザ湖、もしくはウケレウェ湖だ。
イギリス人探検家に「発見」された際に、
当時の女王に因んで名づけられた。

ナイル川の源流のひとつだが
この湖に流れ込む川があるので
真の源流ではない。

なお、この湖から流れ出す川は
ナイル川のみであるため、
ナイル川の一部としてその長さに計上されている。

アフリカ大地溝帯に囲まれており
周囲が隆起したために窪地となったことで
形成されたと考えられている。

このため周辺のタンガニーカ湖
マラウイ湖とは異なり水深がとても浅い。

浅いのだが、赤道直下であり、
水温が高く嵐が起きやすく、
突風も吹きやすいため船の事故が後を絶たない。

事故の発生率と死亡率で言えば、
世界最悪の部類に入るらしい。

ついでに言えば、漁師は女性の仲買人に
魚を卸すのだが、その際に性交渉を
要求できるという慣習が存在する。

そういう文化なので、とやかく言う気はないが、
この慣習が原因でエイズ禍が広がっているのだ。
やはり、アフリカは辛い土地である。

さて、ヴィクトリア湖に話を戻そう。
この湖には多数の川から水が流れ込んでおり、
栄養素が豊富である。

また、はるか昔に形成された古代湖でもあるため、
多くの固有種の存在する豊かな生態系を持つ。

だが、食用に持ち込まれた外来魚によって
その生態系は破壊されつつある。

もっとも、外来魚であるナイルパーチの
輸出がなければ湖周辺の住民の生計は立ち行かない。

また、同じく外来魚のティラピアは
住民の重要な食料である。

栄養に富んだ水質と書いたが、
ものには限度というものがある。

人間の生活水準が上がったことで発生する
生活排水が流れ込み、栄養過剰となり、
赤潮の発生や藻の異常発生が問題となっている。

前述のナイルパーチによる
藻を食べる魚の激減も原因の一つである。

環境破壊が続けば頼みの綱の
ナイルパーチも獲れなくなってしまう。

藻を食べる魚だけの環境に商品となる大型肉食魚を
放流した結果、生態系が破壊され、藻の異常繁殖を
招き、肉食魚も生きていけなくなりつつある。

これが、この湖で起こっていることである。
生態系も経済圏も共倒れの未来が待っている。
どうにかする手立てはあるのだろうか。

きっと懸命に最善策を模索している人々が
いるのだろうとは思うが、
私にはどうしたら良いか皆目見当もつかない。

ヴィクトリア湖のナイルパーチの輸出が止まれば、
本邦でも白身魚フライの価格が
もしかしたら上がるかもしれない。
現地の人々の問題と比べれば些細ではある。

ちなみにヴィクトリア湖には人に寄生する
住血吸虫が多数生息しているため、
水に入ることや生水の利用は推奨できない。

アフリカはやはり辛い土地だ。
痛感しているので二度書いた。

追記
ナイルパーチを燻製に加工するための
燃料として森林伐採まで進んでいるらしい。