序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年12月11日火曜日

モシオトゥニャ

ザンビアとジンバブエの国境にある
巨大な滝である。

ザンビアの名の由来でもあるザンベジ川の
途中に突如として現れる。

山の無い平地に存在するため、
ヨーロッパ人は初めはその存在を疑った。

頑強な玄武岩と脆い砂岩の層が侵食によって削られ、
大きな峡谷ができたことで生まれた滝だと考えられる。

イギリスの探検家デイヴィッド・リヴィングストンに
よって初めてヨーロッパに紹介されたため、
彼の名は周辺に多く残されている。
ザンビア側の街の名前もリヴィングストンである。

リヴィングストンは当時の女王ヴィクトリアの名を
この滝に冠し、ヨーロッパのどこよりも
美しい景色だと評した。

なお、リヴィングストンは暗黒大陸と呼ばれた
アフリカの探検を劇的に進めた人物で、
内陸部の地図が作成されたのは
彼の功績によるところが大きい。

しかし、彼の開拓した経路を利用したのは
奴隷商人たちであった。
内陸部の住民が新たな奴隷の供給源となったのだ。

なお、モシオトゥニャ、
正確にはモーシ・オワ・トゥーニャは
雷鳴の轟く水煙という意味である。

雨季には凄まじい量の水が滝壺に流れ込み、
勢いで水煙が上空に噴き上がる。
下から上に雨が降っていると言われるほどだ。

夜にはこの噴き上がる水が月明かりに虹を作りだす。
美しい光景ではあるが、この時期に
滝本体を見ることは困難である。

滝壺に至っては乾季になって
ようやく見ることができる。

乾季には悪魔のプールと呼ばれる
滝の縁の水勢の緩やかな場所で
遊泳することも可能だが、
度々死者が出ているので試すなら覚悟が必要だ。

さて、このイグアスの滝と並んで世界最大級の
規模を持つ滝は、当然のことながら
世界屈指の人気観光地である。

ザンビアもジンバブエも観光収入のために
宿泊施設や交通網の整備に躍起になった。

それ故に環境へ与えた悪影響も大きく、
野生動物やゴミの投棄の問題への
取り組みが遅ればせながら行われている。

自然の景観の中で死ぬまでに一度は
見ておきたいと言われる場所は数多あるが、
この滝が数え上げられるのは私も妥当だと思う。

アフリカ南部内陸という難易度の高い場所だが、
前述の通りインフラが整備されているため、
現地に着いてから比較的楽に辿り着ける。

大自然を満喫するために海外旅行に行きたいが
どこにするか決めかねているというのであれば、
モシオトゥニャを見に行くというのは
とても良い考えである。