序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年9月6日木曜日

マンチニール

林檎によく似た樹木である。
果実も林檎に似ている。

マンチニールという名前も、
スペイン語で小さな林檎を意味する
言葉に由来している。

カリブ海沿岸周辺のマングローブ林に
生えるこの木には猛毒がある。

果実に毒があるというだけならば
そういう植物は沢山ある。

だが、この樹木は触るだけでも危険だ。

果実だけでなく樹液にも毒があるのだが、
恐ろしいことにその毒は雨水に溶け出す。

雨宿りのつもりでこの木の陰に入ると、
毒を含んだ水滴が降りかかる恐れがある。
したたった水に触れた肌には激痛が走る。

また、この木の枝や幹を火にくべると、
毒煙が立ち上ることになる。

雨水や煙は死に至るほどの毒性はないが、
もしも誤って果実を食べてしまった場合には、
即座に病院へ行くべきだ。
現代の医療であれば、命は助かる。

古くはこの樹液を用いて毒矢が
作られていたのだが、
驚くべきことに木材としても利用されてきた。

どうやら樹液が完全に乾ききるまで
太陽光に当てれば幹や枝の毒性は消えるらしい。

なお、危険性を危惧した人々が駆除をしたり
したわけではないが、マンチニールは
数を減らしている。

おそらくマングローブ林の
減少と関係があるのだろう。

恐ろしい植物だが絶滅が危惧されている。