序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年9月8日土曜日

コルク

西地中海沿岸で生育する樹木である。
樫の仲間だが、樹皮が非常に柔らかい。

樹皮は厚く、強い弾力があり、
保温性や撥水性に優れている。

このため、ゴムや合成樹脂が大々的に
利用されるようになるまでは、
隙間を埋めたり緩衝材にしたりと、
文化的な生活に欠かせない素材であった。

ゴムや合成樹脂の登場以降も、
やや通気性のある点や、
成分の滲出や変質がほぼ無い点が
優れており、需要は安定している。

とくに有名な利用法はワインの栓だが、
実はコルクの用途の中では
多い方ではない。

ただし、コルク産業で一番金になるのは
ワインの栓である。

木管楽器の接合部や、球技用ボールの芯、
コルクボードや断熱材、防音材として、
様々な分野で活用されている。

コルク樹皮の収穫には長い年月を要する。
また、樹幹に傷をつけないよう、
収穫は手作業によって慎重に行われる。

樫なのでドングリが実るのだが、
イスパニアではブランド豚である
イベリコ豚の飼料として利用されている。

地中海沿岸諸国で最も生産量が多いのも
イスパニアであるため、
無駄のない活用法だと言える。

なお、合成樹脂で作られたコルクに似せた
ワイン栓も存在する。

安物のワインに使われるのだが、
カビや澱の対策になるため、
一概に悪いものとは言いきれない。

栓を抜いた際に、コルクの状態を見ることで、
ワインの状態を予測できることから、
ワインマニアや特別感を求める層からは
こうした合成コルクは不評である。

ちなみに、本邦のアベマキというクヌギにも
弾力のある樹皮が形成され、流通量は少ないが
コルクとして利用されている。