序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年9月2日日曜日

タンブルウィード

アメリカの荒野でカサカサと転がる
枯草の塊を映画などで見たことがあるだろう。
タンブルウィードとはあれのことだ。

厳密に言えばいくつかの種類の植物が
あの形態になるのであって、
タンブルウィードという名の植物が
あるわけではない。

また、アメリカの荒野にしか
存在しないわけではない。

司馬遷の記した史記には転蓬の名で登場する。
オーストラリアの荒野でも
よく見られるようだ。

ころがり草と訳されることもあるが、
本邦では滅多に見られない。

最もよく知られているタンブルウィードは
オカヒジキと呼ばれる植物だ。

秋に種子が成熟すると、乾燥した強い風に煽られ、
茎が折れて塊となって吹かれていく。

風に流される過程で種子が撒き散らされ、
様々な場所で芽吹くことによって
生息域を拡大していくのだ。

折れた茎より下、つまり根などは地中に残り、
次の春にはそこから新たに茎が伸びてくる。

根はかなり深くまで伸びており、
乾燥した大地でもよく育つ。

タンブルウィードの発生は天候に左右され、
多い年には家屋が埋もれてしまった例もある。

除去に労力が掛かるという実害があるのだが、
乾燥した草であるため燃えやすいという
危険性も秘めている。

また、車道に突然転がり入ることで、
ドライバーが飛び出しに驚き、
ハンドル操作を誤って事故を起こすことがある。

柔らかそうに見えるが、意外と固く、
棘もあるためなかなかに厄介だ。

家畜の飼料とできないか研究されてきた
らしいが、成果が上がったという話を聞かない。

夏には白から桃色にかけての花を沢山咲かせ、
ミニチュア桜林のようにもなる。

オカヒジキに関して言うならば、
本邦の種は食用となる。

若葉や茎をおひたしなどにして食べるのだが、
海岸沿いに生えているものは
潮風を取り込み塩味がついている。

もちろん、タンブルウィードとなるオカヒジキと
本邦の食用となるオカヒジキは別物である。

また、繰り返しになるが、オカヒジキだけが
タンブルウィードになるわけではない。

強い風の吹く乾燥地帯の植物の
適応の結果なのだろう。