序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年9月12日水曜日

ホッキョクグマ

シロクマとも呼ばれる体毛の白い大きな熊である。
名前の通り北極圏に生息する。

白い毛や羽を持つ生き物は数多いが、
それらの羽毛は実際に白い。

何を言い出すのかと思うかもしれないが、
シロクマの体毛は実は白くない。

彼らの体毛は内部に空洞のある透明な毛なのだ。
このため、光が散乱し、白く見える。

太陽光は彼らの透明な毛を透過し、
その体を直接暖める。

そして、空間のある毛は
体温を容易には外に逃がさない。

シロクマの白い色には
雪の中の保護色というだけではなく、
このような意味があったのだ。

シロクマは他の熊と比べて鼻と首が長い。
これは海中から海上を、あるいは
海上から海中を覗き込むのに都合がいい。

アザラシなどを捕食するのだが、
北極圏は植物が乏しいため、
シロクマは雑食でありながら肉ばかり食う。

食うといえばシロクマの肉はあまり美味く
ないらしい。イヌイットは貴重な食糧として
シロクマを狩ることがあるが、
実は食用には向いていない。

というのも、シロクマの肉には寄生虫が
多いのだ。それでも過酷な環境においては、
重要な食べ物である。

イヌイットはシロクマの肝臓は頑なに食べない。
寄生虫のためでも、宗教的な禁忌でもない。

ある種のビタミンが高濃度に蓄積されており、
これを食べると過剰摂取となって
死に至る恐れがあるためだ。

体に良い栄養素でも多すぎれば毒になるのである。

そういえば、シロクマの地肌は黒い。
太陽光の熱を効率よく吸収するためだ。
毛を剃るとクロクマになってしまう。

また、動物園の飼育個体の場合、
体毛の間に藻が繁殖し、
緑色になることもある。

シロクマならぬミドリグマである。