序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年9月17日月曜日

トースハウン

グリーンランドと共にデンマーク王国を構成する
フェロー諸島の首都である。
ストレイモイ島南部に位置する。

トースハウンの名は雷神トールの港という意味であり、
政争に敗れたヴァイキングたちがノルウェーから
移り住んで作った街である。

ヴァイキングの末裔たちが貿易をして暮らしていた
この地域はやがて海賊たちの格好の狩場となる。

それだけではない、住民の与り知らぬところで、
フェロー諸島はデンマーク王によって
圧政者に領地として下賜された。

貿易の利益は住民に還元されなくなり、
困窮した人々は蜂起してこれに抵抗する。

自らの力で圧政を打ち破ったトースハウンの
人々だったが、不運にも天然痘の流行によって
ほとんどが死に絶えてしまった。

後に、デンマーク王家直轄地として再建され、
貿易によって再び息を吹き返した。

しかし、第二次大戦の折にはデンマーク本国が
ドイツに攻め込まれたことで、
ブリテン北のこの諸島を敵に抑えられぬよう
イングランドが占領してしまう。

大戦後、デンマーク王国はフェロー諸島に
大幅な自治権を与え、
トースハウンは首都となった。

さて、そんな首都トースハウンの
見所は多くは無い。

市場を散策し、トースハウン大聖堂を見て
フェロー諸島風のデンマーク料理を
楽しむのがいいだろう。

大聖堂は近世に建て直された木造建築で、
白壁に青灰色の屋根を持つ。

大聖堂と号すにはささやかな規模だが、
ルター派教会なのでさもありなん。

料理に使われるのは圧倒的に鮮魚である。
あとは乾燥熟成させた肉がメインとなる。

だが、商店ではあまり鮮魚が売られていない。

どういうことかというと、漁師から
直接買うか、貰うのが一般的なのだ。

フェロー諸島といえば、捕鯨が盛んである。
本邦同様に鯨を大切に扱い、
余すところなく利用してきた。

油と髭だけを求めて乱獲し、
絶滅に追いやってきた他の欧米諸国とは違う。

話が逸れそうなのでこの辺りで筆を置こう。

フェロー諸島を観光するなら
自然を楽しむのが一番だが、
とても寒いことを忘れないように。