シーランド公国の首都である。
あれを首都と呼んで良いならば。
そもそも街ですらない。
マンセル要塞群のひとつ、
ラフス塔が唯一の領土のため、
便宜上ラフスの名で紹介する。
ただし、公国はシーランドとしか自称しておらず、
元の名前であるラフス塔を使用していないため、
厳密には首都ラフスと呼ぶのはおかしい。
しかし、そもそもシーランド公国自体が、
いずれの国も承認していない自称国家なので
どう呼ぼうが勝手だと私は判断した。
北海の洋上に世界大戦時ブリテンが
ドイツに対抗するため海上に築いた
人工島要塞群があった。
大戦終結後、ブリテンは公海上にある要塞群を
放棄し、放置していた。
そんな中、元イングランド陸軍少佐が、
マンセル要塞群のひとつ、ノックジョン塔を
占拠していた海賊放送局を追い払い、
自身が海賊放送を開始する。
イングランドは無線電信法違反でこの元少佐を
訴追したが、彼は拠点をラフス塔へと移し、
あろうことかシーランド公国として
独立宣言を行った。
その後、別の海賊放送局がこのシーランド公国の
占拠を目論み接近した際に、
公国側は領海侵犯とみなし警告射撃を行っている。
イングランドはこの事件を受けて
大公及び公太子を逮捕し、
要塞の不法占拠の廉で裁こうとした。
しかし、イングランドはシーランドの独立宣言を
無視していたため異議申し立てをしておらず、
ラフス塔はイングランドの領海外に存在し、
かつイングランドによる要塞の領有権主張は
されてこなかった。
このため、裁判所は彼らの占拠が不法なものという
判決を下すことができなかった。
司法とは常に公正を旨とするものなのだ。
大公は、この一件をもって、イングランドが
シーランド公国の主権を認めたと主張している。
ただし、人工島は国家の領土として認められないため、
シーランド公国は領土を保有するという
国家の要件を満たしていない。
なお、シーランドは一度、
首相によるクーデターを経験している。
公太子を人質に取られ追放された大公は
義勇軍を募り、ラフスを襲撃、奪回に成功した。
これを契機にシーランド騎士団が創設されている。
反逆罪で禁錮を受けた元首相は
彼の祖国である西ドイツに救援を求めた。
西ドイツ政府はイングランド政府に解放を依頼したが、
イングランドの解答はラフス塔は自国の
司法の管轄外であるというものだった。
このため、西ドイツ政府は駐ロンドン外交官を
ラフスに派遣し元シーランド首相の解放を要求した。
外交官の来訪を、西ドイツからの国家承認だと
定義した大公は、元首相に恩赦を与えている。
そして、元首相はドイツで亡命政府を立ち上げた。
彼らが本気なのかお遊びなのかは
本人たちに聞いてみなければ分からないだろう。
シーランドの産業は、雑貨の販売で
成り立っていると思われる。
前述の元首相はカジノ建設を推進していたが、
クーデター失敗によって立ち消えた。
ちなみに、公国に財政上の貢献をした外国人に対し、
大公は爵位を授与している。
このため、本邦でもシーランドの爵位を持つ者が
少なからず存在する。
騎士団員も公募しているようだ。
なお、ドイツ等、一部の国では貴族を僭称することを
法律で禁止しているため、国家として承認されて
いないシーランドの爵位を名乗ると罰せられる。
注意されたし。
私も面白半分で公国に献金し、泉井伯爵を
名乗ってみようかと以前より思っていたが、
今のところまだ重い腰は上がっていない。