パタゴニアの礫砂漠に咲く
可憐な花である。
花弁の薄い青は空の青と
荒野の間に映え、不毛の地に
一服の清涼感をもたらす。
花弁は五枚、中央は穏やかな黄色、
茎と葉はくすんだ緑色をしている。
葉の形はたんぽぽに似て鋸歯状、
乾期にはロゼッタを形成する。
花が咲くのはかの地では希な
雨の降った後であり、
実物を目にするのは難しい。
伝説によると石を割って花開くというが、
実際には石の間から顔は覗かせるものの、
石を割るというケースは発見されていない。
ロカとはスペイン語で石を指すが、
ノサの語源はわかっていない。
おそらく、イスパニア人が訪れてから
この名で呼ばれるようになったと
思われるが、現地での元々の名は
伝えられていない。
ノサ、あるいはそれに近い
音の名であったのだろう。
なお、毒は無いが、えも言われぬ
苦味があり、特に薬効もないため、
食用にされることはない。
砂漠に生える貴重な植物ではあるが、
特に利用されることはない。
ただ、石を割るという伝説から、
困難に立ち向かう者に贈ると良いと
言われており、雨期になると
探し求める人々もいるらしい。
砂漠に花開く意思の花。
もしパタゴニアに行くことがあれば
探してみるのもいいかもしれない。