燃える石、サルファである。
純度の高いものは鮮やかな黄色をしており、
不純物が多くなるにつれて褐色となる。
火山地帯の噴出物として多く産出し、
特に手を加えずとも十分な純度の
ものが得られるのが特徴だ。
よく知られる腐卵臭、いわゆる硫黄の匂いは
硫化水素の匂いで、二酸化硫黄は
強い刺激臭を持つ。
本邦は火山列島のため、古来硫黄に困らず、
比較的容易に採取することができた。
しかし、全国的に空気中の硫黄分が多いため、
銀を硫化させてしまうという問題がある。
他国と比べ銀製品が発達しなかったのは
この硫黄のせいであると言っても過言ではない。
さて、硫黄の利用方法であるが、
昔は痒みなど、皮膚のトラブルに対処する
薬として重用されていた。
アラビアの錬金術師は明礬や緑礬、胆礬から、
ほとんどの金属を溶かすことのできる
硫酸を作り出して研究に勤しんだ。
そして、黒色火薬の登場によって
硫黄の需要は飛躍的に増加する。
硫黄と硝石は入手経路が異なるため、
火薬を作るためには
それなりのコストがかかったのだ。
需要が最大となったのはマッチの発明による。
各地の火山で硫黄の採取が進められた結果、
簡単に手に入る硫黄はなくなってしまった。
だが、硫黄の供給は止まっていない。
石油の精製の際に、その不純物である
硫黄を取り除く必要があるため、
副産物として得られるようになったのだ。
ちなみに、マッチの需要が減った今でも、
ゴムの弾性を高めたり、合成繊維を作ったりと、
その需要は相変わらず高い。
なお、硫黄は錬金術師にとって水銀と並ぶ
神秘の物質であり、世界の謎を紐解く
鍵だと考えられていた。
硫黄から作られる硫酸が金属を溶かす様は、
多くの錬金術師たちに新たな可能性を
感じせたことだろう。