序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年3月6日水曜日

マホガニー

家具や楽器に用いられる木材の中でも
最高峰のものがこのマホガニーだ。

その芯材は赤みを帯び、光を浴びれば
黄金のように輝く。

規則正しいリボン木目に重厚な密度、
優れた耐久性と絹のような肌触り。

机や手すりなど、人の手が触れる家具に
使う木材であれば、
間違いなく最高の素材だろう。

もちろん、用途が違えば他の木材の方が
優れているケースは多いため、
無条件に最上のものとまでは言わない。

さて、このマホガニー、実はもう、
まともな価格で手に入れることはできない。

伐採し尽くされ、希少価値が
高くなりすぎてしまったためだ。

フロリダやハワイに植えられたものもあるが、
産地はキューバである。

中央アメリカにもマホガニーと呼ばれる
近い種類の樹木があるが、
本来のマホガニーほどの美しさは無い。

そして、実際に現在マホガニーだと
言われているものは、ほとんどが
キューバンマホガニーではない。

メキシカンマホガニーや
ホンジュラスマホガニーなら
まだ良心的である。

カヤやマトア、サペリなどの似ている木材が
堂々とマホガニーと呼ばれ流通している。

赤みを帯びた木材であれば
それはマホガニーと呼ばれる。

それですらまだ良心的である。
赤く塗装したものをマホガニーと
呼ぶことすらまかり通っているのだ。

しまいには、白く塗られた
マホガニー家具まで売られている。

音に聞こえしマホガニーの家具が
思っていたより大したことが無かった、
という事例は多いが、それも仕方がない。
マホガニーではないのだから。

本物のアンティークでしか
実際のマホガニーには
お目にかかれないだろう。

コルドバのメスキータや
バルセロナのグエル邸へ
行けば間違いない。

本物もわずかに流通しているはずだが、
比べ物にならないほど偽物が多い。
本物もどうせ密輸品だろう。

マホガニー材を入手することは
無理だと思っていた方がいい。

なお、アンティーク家具の通販サイトを
覗いてみたが、トップにあった商品、
これは写真だけでもわかる。
キューバンマホガニーではない。

製作された年代も既に
枯渇していた時期である。

長らくストックされていた材が
使われていない限り、
ホンジュラスマホガニーだろう。

ちなみに、大手通販サイトで検索して
出てきたものは話にならなかった。
確実にマホガニーではない。

イデアのように存在するマホガニー家具を
模したものをマホガニー家具と呼んでいる
という現実を私は受け入れなければ
ならないのかもしれない。

マホガニーは概念になったのだ。