蟻の砦とも呼ばれる。
マングローブなどの樹木の幹に着生し、
樹上で育つ宿木のような植物である。
この種類の植物の根は地面に届いておらず、
着生している樹木に突き刺さっているわけでもない。
大きく膨らんだ根の内部には細かい穴が空いており、
ちょうど蟻の巣のようになっている。
そう、驚くべきことに、ミルメコディアは
自身の根の内部を巣として蟻に提供しているのだ。
蟻の糞や老廃物、食べ残しは彼らの養分となり、
下手に痩せた土壌に育つ植物よりも
良い暮らしをしているように見える。
また、蟻は自分たちの巣である
ミルメコディアを守ろうとする。
どういうことかというと、
この植物を害する存在を蟻が襲うのである。
このような蟻と共生関係にある植物を
アリ植物と呼ぶのだが、意外なほど多く存在する。
ミルメコディアだけでも様々な種類があり、
他にもセクロピア、ポリポディウム、レカノプテリス、
ディスキディア、コルタルシア、トリプラリス、
ヒドノフィツムなど実に多種多様だ。
アカシアや胡椒にも蟻が住まうものがあるあたり、
アリ植物は案外メジャーなのかもしれない。
面白いことに、特定の奇異な種類だけが
このような特徴を持っているわけではない。
シダやタデ、アカネやヤシなど、様々な種類の植物が、
それぞれ独自の方法で蟻と共生している。
蟻を招き寄せ、蟻に守られて暮らす生き物は少なくない。
だが、自分の体を巣として提供するというのは
植物ならではの選択だろう。