序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年6月22日金曜日

ミルメコディア

蟻の砦とも呼ばれる。

マングローブなどの樹木の幹に着生し、
樹上で育つ宿木のような植物である。

この種類の植物の根は地面に届いておらず、
着生している樹木に突き刺さっているわけでもない。

大きく膨らんだ根の内部には細かい穴が空いており、
ちょうど蟻の巣のようになっている。

そう、驚くべきことに、ミルメコディアは
自身の根の内部を巣として蟻に提供しているのだ。

蟻の糞や老廃物、食べ残しは彼らの養分となり、
下手に痩せた土壌に育つ植物よりも
良い暮らしをしているように見える。

また、蟻は自分たちの巣である
ミルメコディアを守ろうとする。

どういうことかというと、
この植物を害する存在を蟻が襲うのである。

このような蟻と共生関係にある植物を
アリ植物と呼ぶのだが、意外なほど多く存在する。

ミルメコディアだけでも様々な種類があり、
他にもセクロピア、ポリポディウム、レカノプテリス、
ディスキディア、コルタルシア、トリプラリス、
ヒドノフィツムなど実に多種多様だ。

アカシアや胡椒にも蟻が住まうものがあるあたり、
アリ植物は案外メジャーなのかもしれない。

面白いことに、特定の奇異な種類だけが
このような特徴を持っているわけではない。

シダやタデ、アカネやヤシなど、様々な種類の植物が、
それぞれ独自の方法で蟻と共生している。

蟻を招き寄せ、蟻に守られて暮らす生き物は少なくない。
だが、自分の体を巣として提供するというのは
植物ならではの選択だろう。