麻のように繊維が利用される植物である。
リネンの素材と言えば分かりやすいだろうか。
原産地は中央アジア西部であり、
ヨーロッパへと伝播した。
本邦では麻との付き合いが長く、
後から入ってきた亜麻は麻の一種として扱われたが、
植物種としては別物である。
なお、本邦では気候風土の関係から、
北海道が生育に適している。
小さな青みがかった白い花を咲かせる草なのだが、
繊維は茶色がかった金髪をイメージすれば
大体そんな感じのものだ。
前述のように亜麻繊維は麻繊維と混同されているが、
麻布は伸びにくく、亜麻布は柔らかい。
通気性と吸湿性に優れているところは似ている。
肌着や寝具によく使われ、リネンと言えば
寝具そのものを指すこともある。
また、リネンはフランス語ではランと呼ばれており、
このランで作られた高級下着をランジェリーと呼んだ。
古くは紀元前から用いられており、
ミイラを巻く布、キリストの聖骸布など、
遺体を覆うために使われた形跡がある。
現代のインドにおいても、亜麻布で包んだ遺体を
ガンジス川に流すと言われている。
大プリニウスはこの亜麻布を丈夫ではないが
高価なものと記しているが、
途中から綿の説明に変わっている。
ちなみに、亜麻の種から採れる亜麻仁油は
空気に触れると固まる性質から、
木材や皮革の仕上げ剤として使われている。
調理に利用した場合には、
いわゆる油臭さをあまり感じさせないことから、
密かな人気がある。
種をすり潰し、水を加えて乳化したものは、
卵の代わりに焼き菓子に利用でき、
軽やかな口当たりを楽しめるだろう。
生薬としては便秘に有効だ。