トリニダード島に存在する
天然アスファルトの湖である。
ピッチとは粘度の高い黒い樹脂のことで、
硬いが液体のように流れる性質を持つ。
なお、アスファルトは石油樹脂である。
アスファルトの池というのは世界各地に存在し、
タールピットと呼ばれている。
ピットは穴や窪みのことだ。
このトリニダード島のものは
湖と呼ばれるほど大きい。
具体的にはヴァチカンと同じぐらいの広さがある。
もっとも、表面はほとんど乾いて固まっており、
アスファルトで舗装されたような状態である。
そこに穴を開けると瀝青が湧き出すというわけだ。
この場所から採取される瀝青は質が良いと評判で、
天然アスファルトの産出量世界一である。
トリニダード島は石油と天然ガスも産出し、
資源の豊富な島として知られている。
ところで、タールピットはいわゆる底なし沼である。
底が無いなどということは現実にはありえないが、
抜け出すことのできない沼という意味の慣用表現だ。
粘度が高いために、しっかりとした
手掛かりがなければ自力で
抜け出すことはできないだろう。
時間が掛かれば自重で徐々に沈んでいく。
まさに絶体絶命である。
実際に、マンモスなどの古代の生物が
タールピットに飲み込まれており、
よく化石が発見される。
人間の被害については話を聞かないが、
底なし沼の伝説の元のひとつに違いない。
なお、このトリニダードのピッチ湖は、
聖なるハチドリを食べたことで
神の怒りに触れた一族の村が
地面から噴き出した汚物に飲まれてできたという。
実際に村のある場所に瀝青が湧き出したのか、
それともこの不思議な地形を説明するために
創造された物語なのかは分からない。
いずれにせよ、不思議な場所である。