序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年6月17日日曜日

サッサフラス

北アメリカに自生する樹木である。
本邦では馴染みがない。

根から絞った油は香料として用いられ、
柑橘系の香りを持つ。

だが、毒性があるため、アメリカでは
食品への使用が禁止されている。

葉には毒性を持つ成分が含まれておらず、
乾燥させ粉末にしたものを水に溶くと、
片栗粉を溶かしたようにとろみがつく。

この粉末はフィレパウダーと呼ばれており、
代表的なアメリカ料理、
ガンボの材料として用いられる。

ガンボとは、フランス式のブイヤベースに、
このフィレパウダーを溶いたスープだ。
東海岸の伝統料理である。

セロリ、ピーマン、玉葱、そして甲殻類か肉を
用いて非常に濃いスープを作り、
それをインディカ米と共に食べるのだが、
とろみが無ければガンボとは言えない。

甲殻類はカニ、エビ、ザリガニが、
肉は鶏、アヒル、ウズラ、もしくは
豚の燻製肉が用いられる。

ただし、地域によって構成が異なり、
トマトや牡蠣、ゆで卵、七面鳥などが入る場合もある。

もっとも、とろみのついたブイヤベースに
合わない食材というのも珍しい。
好きなものを入れて良いと思う。

ところで、サッサフラスの葉から作る
フィレパウダーを使うのがガンボだと書いたが、
それは最初期の話だ。

むしろガンボという名が定着する前の話だろう。
ガンボとはアフリカ原産のオクラのことだからである。

ガンボを作る際には、フィレパウダーを使う場合と、
オクラを使う場合があるのだ。

黒人奴隷と共に持ち込まれたオクラは、
フィレパウダーよりも手軽に
とろみをつけることができた。

したがって、夏は新鮮なオクラを、
冬は保存の効くフィレパウダーを使うようになり、
結果的にガンボに季節感をもたらした。

だが、アメリカ以外ではサッサフラスが珍しいため、
他の国で作られる場合は、概ねオクラが
用いられているとみて良いだろう。