正式な名前はシロバナムシヨケギクという。
種に成長する部分、胚珠に殺虫成分を持つ。
白いマーガレットのような花で、
蚊取り線香のパッケージにも描かれていたため
なんとなく知っている向きも多いだろう。
バルカン半島を席捲していた頃のセルビアにおいて、
この花の束の枯れたものの傍に多数の虫の死骸が
落ちていたことからその効能が発覚したという。
この花は明治期に本邦へと伝来し、
上山英一郎によって蚊取線香が発明された。
当初は棒状の線香だった金鳥香だが、
渦巻型に改良されたことで、
長時間の燃焼が可能となったのである。
本邦では古来より蚊遣(かやり)と呼ばれる
煙を焚いて蚊を追いやる文化があった。
蚊取線香誕生の背景には
この蚊遣からの着想があったのだろう。
本邦ではマラリアが駆逐されて久しいが、
世界各地には未だ蚊が媒介する病によって
死に至る人々が少なくない。
そうした地域では蚊取線香が
多くの命を救っているのかもしれない。
偉大な発明である。