大気の大部分を占める気体である。
無色透明無味無臭のため
その存在を感じ取ることは難しい。
フロギストンの探求過程で発見され、
この気体のみの空間にマウスを閉じ込めたところ、
窒息死したために窒素と名付けられた。
有毒空気とも呼ばれていた。
しかし、現代の我々ならわかることだが、
マウスが窒息したのは酸素が無かったためで、
窒素自体に毒性があるわけではない。
むしろ植物の生育に必要な物質で、
土中の微生物が空気中から取り込み、
化合物として排出、それを植物が根から吸収する。
ナイトロジェン、いわゆるニトロとも呼ばれているが、
これは硝石(ニトロン)を生み出すもの
という意味合いである。
単体の気体として存在する分には無害な物質だが、
化合物となるとその表情を一変させる。
有毒のアンモニア、強力な酸である硝酸、
そして、激しい燃焼を起こすニトロ化合物である。
黒色火薬の主体である硝酸カリウム、
下瀬火薬の主成分でもあったピクリン酸、
火薬の代名詞ともいえるトリニトロトルエン、
爆薬に欠かせない存在が窒素なのだ。
まだ実用化はされていないが、ポリ窒素と呼ばれる
特別な構造を持つ窒素分子は、現有の爆薬の中で
最大の威力を持つものよりも更に強力だという。
ただし、核爆弾は除く。
無毒無害、意識することもない空気、窒素と、
爆薬との対比はなかなか面白いものである。