序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年6月25日月曜日

窒素

大気の大部分を占める気体である。

無色透明無味無臭のため
その存在を感じ取ることは難しい。

フロギストンの探求過程で発見され、
この気体のみの空間にマウスを閉じ込めたところ、
窒息死したために窒素と名付けられた。

有毒空気とも呼ばれていた。

しかし、現代の我々ならわかることだが、
マウスが窒息したのは酸素が無かったためで、
窒素自体に毒性があるわけではない。

むしろ植物の生育に必要な物質で、
土中の微生物が空気中から取り込み、
化合物として排出、それを植物が根から吸収する。

ナイトロジェン、いわゆるニトロとも呼ばれているが、
これは硝石(ニトロン)を生み出すもの
という意味合いである。

単体の気体として存在する分には無害な物質だが、
化合物となるとその表情を一変させる。

有毒のアンモニア、強力な酸である硝酸、
そして、激しい燃焼を起こすニトロ化合物である。

黒色火薬の主体である硝酸カリウム、
下瀬火薬の主成分でもあったピクリン酸、
火薬の代名詞ともいえるトリニトロトルエン、
爆薬に欠かせない存在が窒素なのだ。

まだ実用化はされていないが、ポリ窒素と呼ばれる
特別な構造を持つ窒素分子は、現有の爆薬の中で
最大の威力を持つものよりも更に強力だという。
ただし、核爆弾は除く。

無毒無害、意識することもない空気、窒素と、
爆薬との対比はなかなか面白いものである。