最も厄介な被害をもたらす獰猛な蟻である。
本来は南アメリカの平原に暮らす蟻で、
最大の特徴は女王蟻が複数いることである。
決まった巣を作らず、様々な隙間に入り込み、
そこで卵を産み幼虫を育てる。
雨季になると地面が水没する環境に適応した結果で、
複数いる女王蟻の一部が羽蟻を率いて飛び立ち、
新たな巣を作り出す。
こうしてテリトリーをどんどん増やしていくのだが、
本来の生息域では縄張り争いが激しく、
アルゼンチンアリ同士で殺し合うためさほど問題がない。
問題となるのは海を越えて他地域に
侵入したアルゼンチンアリである。
本場のアルゼンチンアリは例えるなら様々な部族がおり、
部族間の争いに終始している状態だが、
余所では一つの部族が一致団結して
勢力を拡大していくことになる。
ただひたすらにテリトリーの拡大に努めるわけだ。
その結果、凄まじい規模のコロニーが誕生する。
オーストラリアは既にアルゼンチンアリに
占拠されていると言っても過言ではない。
アルゼンチンアリが具体的にどのような
被害をもたらすのかを紹介しよう。
まず、果実等の食害が挙げられる。
大挙して訪れた彼女たちによって、
果樹園は大被害を被る。
そして、在来の蟻の駆逐もまた深刻だ。
彼女たちは他の蟻の巣へ攻め込み、
幼虫や卵を餌とする習性を持つ。
この獰猛さゆえに、元々生息していた蟻たちは
地域での絶滅に追いやられる。
その結果、生態系が崩れるのだ。
また、アルゼンチンアリは都市部を好む。
巣となる隙間が非常に多いためだ。
電子機器の中に入り込み、
中の基盤の上をうろつくわけだが、
そんなことをすればショートが発生する。
農業を破壊し、生態系を破壊し、電子機器を破壊する。
これほど厄介な被害をもたらす虫も珍しいだろう。
なお、現在、アルゼンチンアリを駆逐する方法は無い。