序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年6月21日木曜日

アルゼンチンアリ

最も厄介な被害をもたらす獰猛な蟻である。

本来は南アメリカの平原に暮らす蟻で、
最大の特徴は女王蟻が複数いることである。

決まった巣を作らず、様々な隙間に入り込み、
そこで卵を産み幼虫を育てる。

雨季になると地面が水没する環境に適応した結果で、
複数いる女王蟻の一部が羽蟻を率いて飛び立ち、
新たな巣を作り出す。

こうしてテリトリーをどんどん増やしていくのだが、
本来の生息域では縄張り争いが激しく、
アルゼンチンアリ同士で殺し合うためさほど問題がない。

問題となるのは海を越えて他地域に
侵入したアルゼンチンアリである。

本場のアルゼンチンアリは例えるなら様々な部族がおり、
部族間の争いに終始している状態だが、
余所では一つの部族が一致団結して
勢力を拡大していくことになる。

ただひたすらにテリトリーの拡大に努めるわけだ。
その結果、凄まじい規模のコロニーが誕生する。

オーストラリアは既にアルゼンチンアリに
占拠されていると言っても過言ではない。

アルゼンチンアリが具体的にどのような
被害をもたらすのかを紹介しよう。

まず、果実等の食害が挙げられる。
大挙して訪れた彼女たちによって、
果樹園は大被害を被る。

そして、在来の蟻の駆逐もまた深刻だ。
彼女たちは他の蟻の巣へ攻め込み、
幼虫や卵を餌とする習性を持つ。

この獰猛さゆえに、元々生息していた蟻たちは
地域での絶滅に追いやられる。
その結果、生態系が崩れるのだ。

また、アルゼンチンアリは都市部を好む。
巣となる隙間が非常に多いためだ。

電子機器の中に入り込み、
中の基盤の上をうろつくわけだが、
そんなことをすればショートが発生する。

農業を破壊し、生態系を破壊し、電子機器を破壊する。
これほど厄介な被害をもたらす虫も珍しいだろう。

なお、現在、アルゼンチンアリを駆逐する方法は無い。