かいろうどうけつ と読む。
夫婦が共に老い、同じ墓に葬られることを指す
詩経に由来する故事成語である。
突然何を言い出すのかと思ったかもしれないが、
この名を付けられた動物がいるのだ。
種類は海綿である。
スポンジのような生き物の種類だが、
偕老同穴は繊維がガラスでできている。
そう、体内でガラスを生成し、
自身の骨格とするのである。
このガラスの骨格は檻のような円柱となっており、
中心部は胃腔として空間が存在する。
この空間には雌雄のエビが住み着いているのだ。
エビはまだ小さな幼生のうちに偕老同穴の
内部に入り込み、中で雌雄に別れて成長、
体が網目より大きくなり、外に出られなくなる。
つまり、このドウケツエビは、
死ぬまで夫婦二匹だけで
ガラスの家に住み続けるのである。
これが冒頭の「共に老い、穴を同じくする」
に繋がるわけである。
結婚式の祝い品として贈られることもあるのだが、
確かにこれ以上の縁起物もそうそうないだろう。
偕老同穴は死後波に流されて海岸に打ち上げられる。
この間に肉は洗われ、ガラス骨格だけが残される。
海岸にきらめく繊細なガラス細工を見つけたならば、
どこから流れ着いた宝物だろうと
胸がときめくに違いない。