序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年6月2日土曜日

テングサ

天草とは海藻の一種である。

石花菜やオゴノリとも呼ばれ、
万葉時代にはテグサの名で記録されている。

海藻には緑藻、褐藻、紅藻があるが、
天草は赤く、紅藻に分類されるものである。

緑藻は浅い海で生育し、日光がよく届くため
陸上の植物同様に緑色をしている。

対して紅藻は深いところで育つ。
このため、効率良く日光からエネルギーを
得るために赤色をしている。
褐藻はその中間である。

さて、天草といえば寒天である。
寒天のてんは心太、つまり、
ところてん の てん である。

ところてんの材料である寒天は、
寒空の下で乾燥させていたことから、
ダブルミーニングで名付けられたという。

ところてんは、こころぶと が訛ったものらしい。
心太と書いて ところてん と読むのは何故か、
不思議に思ったことがあるだろう。
元々は大陸の言葉であったようだ。

さて、動物性のゼリー状物質ゼラチンと異なり、
寒天は温度の変化に強い。

一度溶かして固めると、かなり高い温度に
ならなければ再度溶けることがない。

このため、口に入れた際に体温で溶けることなく、
独特な食感を維持することが可能だ。

ところてん のあの見事な食感は
ゼラチンでは生み出すことができないのだ。

暑い夏の日には黒蜜でつつっと
ところてん をいただきたいものである。

関東のスーパーで売っている ところてんは
酢水に浸けられているのが残念でならない。

自作するしかないのだが、
以前持っていた天突きは
いつのまにか無くなってしまった。

ところで、冷やして食べるイメージしかない
ところてんだが、暖かいスープに入れるという
変わり種も考案されているようだ。

煮ると溶けてしまう ところてん だが、
口に入れられる温度であれば、
あの食感を維持することができるのだ。