狐猿の仲間、インドリと呼ばれる三種類の猿がいる。
いずれもマダガスカル島の固有種だ。
その中で顔が黒く全身の毛が白いのがシファカだ。
シファークと鳴く。
特徴的なのは後ろ足であり、前足と比べてかなり長い。
樹上での生活に適合した結果であろう。
この長い後ろ足のせいで、シファカは地上を四つ足で
歩くことが苦手である。
このため、樹上を伝って移動できない際には、
地面の上を前足を挙げながら飛び跳ねて進むのだが、
正面には跳べず、横っ飛びをする。
なんとも愛らしい姿である。
マダガスカルの現地人もシファカのこの姿に
特別な想いを抱いたようで、
精霊の宿る猿と呼んで大切にしてきた。
しかし、マダガスカルで数々の宝石が
産出することが知られると状況が変わった。
エメラルド、ガーネット、アメシストなどの含まれる鉱石を求め、
人々は森林を伐採し、地中を掘り起こしたのだ。
住む場所を失ったシファカたちは徐々に数を減らし、
人間の畏敬の念も失われ、食用として狩りの対象となった。
精霊の猿は今、危機を迎えている。