序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年3月26日月曜日

シファカ

狐猿の仲間、インドリと呼ばれる三種類の猿がいる。
いずれもマダガスカル島の固有種だ。

その中で顔が黒く全身の毛が白いのがシファカだ。
シファークと鳴く。

特徴的なのは後ろ足であり、前足と比べてかなり長い。
樹上での生活に適合した結果であろう。

この長い後ろ足のせいで、シファカは地上を四つ足で
歩くことが苦手である。

このため、樹上を伝って移動できない際には、
地面の上を前足を挙げながら飛び跳ねて進むのだが、
正面には跳べず、横っ飛びをする。

なんとも愛らしい姿である。

マダガスカルの現地人もシファカのこの姿に
特別な想いを抱いたようで、
精霊の宿る猿と呼んで大切にしてきた。

しかし、マダガスカルで数々の宝石が
産出することが知られると状況が変わった。

エメラルド、ガーネット、アメシストなどの含まれる鉱石を求め、
人々は森林を伐採し、地中を掘り起こしたのだ。

住む場所を失ったシファカたちは徐々に数を減らし、
人間の畏敬の念も失われ、食用として狩りの対象となった。

精霊の猿は今、危機を迎えている。