アマゾンで見られる轢き潰されたようなカエルである。
この地上に奇想天外な生き物は数知れないが、
その中でも屈指のものだ。
褐色の扁平な体を持ち、頭は三角形をしている。
目は極めて小さく、舌に至っては存在しない。
四肢は常に大きく広げられており、
本当に何者かに押し潰されたのではないかと思えるほどだ。
大きさは手の平に乗る程度で、
厚みは手の平よりも薄い。
陸に上がることは滅多に無く、
水面に頭を向けて水の中を垂直に漂っているという。
天敵の目を欺くため枯れ葉に擬しているに違いない。
前足の指先には感覚の鋭敏な器官があり、
餌となる虫や小魚の接近を感じ取ると、
口を開いて水ごと吸い込み手でかき込む。
不思議な生物である。
ここまでに述べただけでも驚くべきものだが、
最大の特徴は他にある。
なんと背中から子を産むのだ。
産卵後、雄は雌の背中に沢山の卵を押し付ける。
この時期、雌の背中はスポンジのように柔らかくなり、
無数の細かい穴が生じてそこに卵が嵌まっていくのだという。
卵は母親の背中で成長していくのである。
子は泳げる姿になっても卵の中に留まり、
カエルの姿に変化してからようやく産まれてくる。
こうした特徴から子守蛙とも呼ばれている。