南大西洋はアフリカ大陸と南アメリカ大陸の間、
ギニアビサウの南方、ブランコ岬の東方に、
アセンションと名付けられた島がある。
アセンションとはキリスト教徒の言うところの
復活した救世主が天へ昇った事象を指す言葉だ。
インドへの航路を求めてポルトガルより旅立った
アルフォンソ・デ・アルブケルケの艦隊が
キリスト昇天祭に島に至り名付けたことに由来する。
農地にするには土壌が少なく、
貿易港とするには位置の悪かったこの島を
ポルトガル人は無益な地と判断し放置した。
時は流れナポレオン・ボナパルトがセントヘレナ島への
流刑に処せられた後、彼を救出しようとする者たちを
警戒したイングランド軍はこの島に艦隊を配置したという。
その時に島に付けられたあだ名が
世に言う「石でできた軍艦」である。
以来イングランド軍は補給港として利用していたようだが、
大規模な施設は無くこじんまりとしたものであった。
その後世界大戦の戦間期に電波塔が設けられ、
今では海底ケーブルの中継地となっており、
現在も軍用基地として活用されている。
かのフォークランド戦争においては、
この島の基地より爆撃機が飛び立ったという。
なお、セントヘレナ島、トリスタンダクーニャ諸島と共に
グレートブリテンの属領であり、
首府はジョージタウンに置かれているが、
実質的にこの島を管轄しているのは民間の通信業者である。