序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年3月18日日曜日

水牛

牛の仲間は牛とバイソンと二種類の水牛に分けられる。

水牛のことをバッファローと呼ぶが、
バイソンのことをバッファローと呼ぶことも多い。
誤用が定着したものである。

牛と水牛の大きな違いは、角の大きさである。
非常に発達した角は時に凶器となる。

アフリカの水牛とアジアの水牛の差も角にあり、
アフリカ種は頭部を覆うような広がった角が特徴的だ。

また、水牛はその名の通り川や沼などの水辺を好む。

水牛の乳は牛の乳と比べて脂肪分が多く、
モッツァレラチーズの原料として有名だ。

癖が無く、独特の弾力を持つこのチーズは、
ピッツァやパスタなどに用いられ、
主にイタリア料理で好んで使われる。

食用という点に関しては、インドでの扱いが興味深い。

知っての通り、インドではヒンドゥー教の影響で
牛肉を食べることは極めて稀である。

しかし、水牛肉を食べることは禁忌ではない。

冥界の神ヤマの乗り物は水牛とされているが、
これは水が冥界へと繋がっているため、
水の中に入っていく水牛が適していると考えられたからだろう。

また、マヒシャースラという魔神が神々を脅かした際、
魔神は次々と姿を変えて戦ったのだが、
討ち取られた際の姿が水牛であった。

こうした背景により、水牛は神聖な存在とは見做されず、
殺して食べても良い生き物とされたのだと思われる。

ただし、その肉は硬く、よく煮込まなければ
美味しく食べることはできない。

だが、そもそも水牛は非常に有益な家畜である。

水を厭わない性質から水田での作業に向いており、
労働家畜として重宝されてきたのだ。

そうした家畜を食べる場面というのは、
やはり老いて死に至るものを供していたのだろう。

つまり、ただでさえ硬い肉を
コンディションの悪い状態で食べていたのだ。

もっとも、それは水牛だけでなく
牛や他の家畜にも言えることだろう。