我々は縞模様の馬だと認識しているが、
縞模様のロバと呼ばれている地域もある。
というのも、本邦本来の馬との大きさの差はそこまでないが、
サラブレットでイメージされるような大型の馬と比べると
シマウマはかなり小さい。
なので大きな馬を見慣れていた地域の者たちは、
この生物をロバの仲間だと認識したのだろう。
だが、馬ともロバとも大きく違う点がある。
それは気性の粗さだ。
ヨーロッパ人たちはこの独特な模様を持つ
馬に似た生き物の家畜化に熱心に取り組んできた。
しかし、馴らすことはできても
家畜とすることはできなかったのだ。
ところで、何故シマウマはあれほど目立つ模様をしているのか。
誰もが疑問に思うことだろう。
荒野の中であの色と模様では目立って仕方がない。
肉食動物に狙ってくれと言わんばかりではないか。
私も子供の頃はそう思っていた。
シマウマは群れで暮らす生き物である。
肉食動物は基本的に、群れの中でも弱っているものや、
体の小さいもの、群れからはぐれたものを狙う。
シマウマがひとかたまりの群れとなった時、
あの縞模様の影響で一体一体の識別が困難となる。
つまり、肉食動物が弱い個体に狙いを付けにくくなるのだ。
また、多くの哺乳類の目は人間ほど色の識別ができないという。
白と黒のコントラストが目を引くシマウマだが、
色の識別能力の低い動物からしてみれば、
草むらの陰翳と見分けがつかないというのだ。
ところで、ダズル迷彩というものを聞いたことはあるだろうか。
世界大戦の頃に流行した軍艦の塗装のことであり、
幻惑迷彩とも呼ばれるものだ。
ノーマン・ウィルキンソンという画家が考案した
縞模様の塗装方法なのだが、船の形、大きさ、
進行方向、速度の計測が難しくなるという。
エドワード・ワズワースの作である
リバプールのダズル艦という絵画に、
ダズル迷彩が施された軍艦が描かれている。
あの絵を見ればその効果が良くわかるだろう。
ただし、実戦においては大した効果は無かったらしい。
もっとも、その特異な見た目は民衆を沸き立たせ、
士気を高揚するという効果が得られたようだ。
話をシマウマに戻そう。
つまりは、シマウマの体の模様にはダズル迷彩のように、
体の大きさや移動方向を幻惑する効果があるのだと思われる。
街で見掛けるゼブラ柄の服を身に付けた女性も、
もしかするとその体型を幻惑させているのかもしれない。