序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年3月6日火曜日

カエンタケ

カエンタケとは最も恐ろしい部類の毒キノコである。

燃えるキノコとも称されるその見た目は、
赤珊瑚のような美しさがあり、
また、燃え立つ炎のようでもある。

しかし、決して触ってはいけない。
触れた箇所がたちまち激痛に襲われるだろう。

手袋や棒で触るのも危ない。
脆く崩れやすく、汁気が多いため、
毒汁が飛び散る恐れがある。

当然、食べるなどもってのほかである。
まず間違いなく死に至る。

具体的には以下のような地獄の苦しみを味わうだろう。

まず腹痛と嘔吐と下痢に襲われる。
続いて眩暈と手足の痺れが起こり、
呼吸が困難となり呂律が回らなくなる。
血液が破壊され、皮膚はただれ、
肝臓と腎臓と肺が冒され、そして死ぬ。

運よく死を免れたとしても、
脳が委縮し、毛は抜け落ちて、皮膚はぼろぼろになる。
更には精神や身体にその他の後遺症が残るだろう。

大切なことなのでもう一度言おう。
決して食べてはいけない。

ある旅館において、山で採れたキノコを飾っていたという。
酒に酔った客がキノコ酒と称してその中の一つを酒に浸した。
よりにもよってそれはカエンタケであった。
客は死んだ。

つまり、たとえ毒があることを理解した上で、
鑑賞や蒐集用に持ち帰ったとしても、
何らかの事故が起こる可能性があるのだ。

なお、ベニナギナタタケと呼ばれるよく似たキノコがある。
こちらは食味が良く、美味だと評判だ。
だが、カエンタケと見分けるのが困難なため、
このキノコを賞味するのは避けるのが賢明だ。