序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年3月24日土曜日

チンパンジー

アフリカ中央部に生息する最も人間に近い猿である。

基本的には木の上で暮らし、枝葉で作ったベッドで眠る。
群れによっては石や木を道具として使い、
物を投げることも他の猿より得意だ。

物を投げるということは、動物の中でも
限られたものにのみ可能な行為である。
大前提として物を掴む手と良く動く肩が必要だからだ。

ゴリラやオランウータンも物を投げられる。
しかし、チンパンジーほど狙った場所には投げられない。

もっとも、人間の投擲能力には遠く及ばず、
速度も正確性もずっと低いものである。

だが握力は侮れない。
雄の成獣であれば人間の成人男性の五倍もの握力を持つ。

知能に関しては人間の幼児程度だと言われており、
教え込めば簡単な言語やじゃんけんなども習得する。

ある霊長類研究所では、人間が鍵を扱う動きを見て覚え、
自分が入れられている檻の鍵を開け脱走したという。

その際に、他の猿の檻まで開けてしまったというが、
これは単純に鍵を開けることを楽しんだ結果だと見られている。

ところでオリバーという名の謎の類人猿をご存知だろうか。

結論から言うとチンパンジーだったのだが、
顔に毛がなく、直立二足歩行を常としていたため、
人間とチンパンジーの中間に当たる類人猿だと思われたのだ。

直立歩行できるよう訓練されていただけなのだが、
世界各地の亜人型未確認生物の正体だとか、
人間との混血であるなどともてはやされ、
空前絶後の大発見として多くの人々が熱狂した。

テレビの作り出した虚構の中でも最高峰であったオリバー君は、
その人気が冷めるとチンパンジーとしての暮らしに戻ったという。

そういえば映画「猿の惑星」が公開されたのは
オリバー君の流行前のことである。
この映画が無ければこうした騒動も無かったかもしれない。