アフリカ中央部に生息する最も人間に近い猿である。
基本的には木の上で暮らし、枝葉で作ったベッドで眠る。
群れによっては石や木を道具として使い、
物を投げることも他の猿より得意だ。
物を投げるということは、動物の中でも
限られたものにのみ可能な行為である。
大前提として物を掴む手と良く動く肩が必要だからだ。
ゴリラやオランウータンも物を投げられる。
しかし、チンパンジーほど狙った場所には投げられない。
もっとも、人間の投擲能力には遠く及ばず、
速度も正確性もずっと低いものである。
だが握力は侮れない。
雄の成獣であれば人間の成人男性の五倍もの握力を持つ。
知能に関しては人間の幼児程度だと言われており、
教え込めば簡単な言語やじゃんけんなども習得する。
ある霊長類研究所では、人間が鍵を扱う動きを見て覚え、
自分が入れられている檻の鍵を開け脱走したという。
その際に、他の猿の檻まで開けてしまったというが、
これは単純に鍵を開けることを楽しんだ結果だと見られている。
ところでオリバーという名の謎の類人猿をご存知だろうか。
結論から言うとチンパンジーだったのだが、
顔に毛がなく、直立二足歩行を常としていたため、
人間とチンパンジーの中間に当たる類人猿だと思われたのだ。
直立歩行できるよう訓練されていただけなのだが、
世界各地の亜人型未確認生物の正体だとか、
人間との混血であるなどともてはやされ、
空前絶後の大発見として多くの人々が熱狂した。
テレビの作り出した虚構の中でも最高峰であったオリバー君は、
その人気が冷めるとチンパンジーとしての暮らしに戻ったという。
そういえば映画「猿の惑星」が公開されたのは
オリバー君の流行前のことである。
この映画が無ければこうした騒動も無かったかもしれない。