まるでプラスチックの造花のような植物である。
鮮やかな赤が印象的な観葉植物で、
中央アメリカが原産地だ。
花と思われがちな赤く色づいた部分は葉であり、
こうした花のような葉を仏炎苞という。
仏像の背景の炎型の飾りに似ているという事で
こんな特徴的な名前になっている。
本邦ではミズバショウやザゼンソウが
仏炎苞を持つ花としてよく知られている。
さて、アンスリウムだが、品種改良の結果
様々な色のものが存在する。
基本的には赤だが、ピンクや白、
紫や緑のものもあるのだ。
緑は元々の葉の色のため、
本末転倒ではないかという気もする。
なお、花は中心に立つ柱状の部分で、
こうした形式を肉穂花序と呼ぶ。
特に知らなくても良い情報だ。
アンスリウムの仏炎苞は見ようによっては
ハート型といえるため、
恋と絡めてマーケティングされている。
ちなみに葉もハート型だ。
そもそも仏炎苞は葉なので
同じ形をしていても不思議ではない。
和名は大紅団扇、赤い大きなうちわだ。
ハートとは打って変わって
ロマンチックさに欠ける名前である。
ハートはヨーロッパにおける
心臓を表したシンボルだが、
その歴史は意外と古い。
医学が未発達だった頃、
心臓は感情を司る臓器だと考えられていた。
心は文字通り心臓にあったのだ。
感情が高ぶるとドキドキと心臓の鼓動が増すが、
こうした経験からも心の臓器という考えは
疑われることなく受け入れられていた。
そして、心臓を体から取り出すという
比喩的表現が多用されるようになり、
やがてそれは心を奪われる恋愛と結び付けられる。
もちろん、色恋だけではなく、
信仰の愛の表現にも使われている。
有名なフランシスコ・ザビエルの肖像では
彼は自身の心臓を手に持ち、
そこから救世主の磔にされた十字架が伸びている。
ハートの形をしたアンスリウム。
それを贈るというのは
愛の表明ということになるのだろう。