序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年2月5日火曜日

チンアナゴ

温かい海に生息する変わった魚である。

どのあたりが変わっているかというと、
まず海蛇のように体が細長い。

頭から尾までは成人男性の
腕ぐらいの長さがある。

尾で砂地に穴を掘り、
半分ほど埋まった状態で過ごす。

英語ではガーデンイールと呼ばれており、
これは庭のウナギという意味だが、
庭園の植物のように海底から
生えているために付けられた名だ。

通常は群れを成して海底から生えており、
海流に顔を向けているため、
皆が皆同じ方を向いている。

流れてくるプランクトンをよく発達した
目で見分けて食べているのだ。

ただし、詳細な判別は口に入れてから
しているようで、泡や仲間の糞にも食いつく。
糞だった場合はすぐに吐き出す。

肛門は腹の中ほどにあり、
砂地から にょきっと出た
いつものポーズのまま排泄を行う。

時には穴から出て泳ぐこともあるが、
珍しいことで水族館でも
なかなか見ることはできない。

尾で穴を掘る際は螺旋状に掘り進み、
容易には抜けないようにしているほか、
体から染み出す粘液で砂を固めている。

なお、チンアナゴのチンとは犬種の狆のことで、
正面から見た時の顔つきが
似ているため命名されたそうだ。

六年程前から特に人気が高くなっており、
今ではチンアナゴ目的に水族館へ
行く客も少なくないという。

水族館側もチンアナゴの展示に力を入れ、
同じガーデンイール族を複数種
用意したりもしている。

面白いのは同種族でまとまって
穴に入って群れている点で、
やはり群れの意識があるようだ。

水族館はとても良い場所である。
ペンギンもいるし、
私は大好きだ。

ゆらゆら揺れるチンアナゴを眺め
忙しい日々を束の間忘れるのも
いいのではないだろうか。