物を特定の色に染める染料にも色々あるが、
食紅とは食料品に色を加えるための物質である。
本来は紅花から採れる赤色染料のことを指すが、
広い意味で食紅という言葉を使った場合、
食料品に使用可能なすべての染料を指す。
パプリカ色素やクチナシ色素はイメージしやすいが、
コチニール色素という臙脂虫のワックス由来の
ものも存在する。
それどころか、タール色素と呼ばれる
コールタールやナフサが原料の染料も
多く使われている。
タール色素は数十万種類にも及ぶとされているが、
食品や化粧品、医薬品に使うもの、つまり人体に
害が無いと認定されているものは多くない。
本邦ではアマランス、エリスロシン、アルラレッド、
ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、
アシッドレッド、タートラジン、サンセットイエロー、
ファストグリーン、ブリリアントブルー、
インジゴカルミンの十二種類が該当する。
赤色何号などと呼ばれるこうしたタール色素が
本当に人体に悪影響が無いのか、
今でも懐疑的にとらえる人々は多い。
実際、程度の問題で、多量に摂取すれば
安全性は担保されないと考えられる。
しかし、今や合成染料を使わない加工食品は
わざわざ無添加などと謳う時代である。
特に菓子類や清涼飲料はその彩りのために
多くの合成染料が使われている。
もちろん、石油由来でなく、植物由来なら
安全だなどと考えているのならそれは
大きな間違いである。
古くから使われてきた茜染料は、以前は食紅の
一種であったが、腎臓への負担が強く、
発癌性があることが分かり、除外された。
こうした染料に限らず、植物由来だから安心
などという妙な信仰を持っている人々がいるが、
毒性植物など挙げればきりがない。
なんでもかんでも危険だと恐れをなすのも
ナンセンスであるし、盲目的に植物だから安心
などとのたまうのも滑稽である。
昔から使ってきたから安全なはず、
という例もあれば、最新の技術で作られたから
安心なはず、という考えもできる。
結局のところ、我々は既存の環境の中で
生きていくしかないのだ。