序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年7月29日月曜日

ディル

黄色く小さな花を咲かせる植物である。

原産地はよくわかっておらず、
中央アジアからヨーロッパまで、
幅広く生育している。

スペイン語ではイネルドと呼ばれ、
本邦へ伝わった際にイノンドと訛ったものの、
現在では英語名のディルが一般的である。

薬草としての歴史が古く、
胃薬や整腸剤として重宝されてきた他、
魔術を防ぐ力もあると考えられた。

漢方では果実が蒔蘿子、じらいしと呼ばれ、
香辛料としてもこの果実が用いられる。
なお、果実は一見すると種子のようである。

葉にも芳香があり、香草として利用され、
スープやピクルスの風味付けに使われる。

ディルはキャラウェイフェンネルと似ており、
混同されたり代用品とされたりということも多い。
ただし、果実には辛みがある。

ディルが特に合う食材は川魚だろう。
川魚特有の臭みを消し、
爽やかな香りを付け加える。

ヨーロッパ全般でよく使われる香草であるが、
特によく使われるのはポーランド料理と
ロシア料理そしてドイツのザワークラウトだ。

ロシアではウクロープと呼ばれており、
鮭のマリネやふかしたジャガイモ
ボルシシにも使われる。

香りには鎮静作用があるとされており、
夜泣きをする赤ん坊に
煎じ汁を与えていたという記録もある。

本邦ではあまり多用される香辛料ではないが、
マリネやポテトサラダに入れてみると、
普段とは違う味わいが楽しめるだろう。