縞瑪瑙のことであるが、一筋縄ではいかない。
石英結晶やオパールなどが層状になった鉱物が
瑪瑙と呼ばれるカルセドニーである。
縞瑪瑙とは鉱物の層が平行なものである。
これは後述するカメオ作りに重要な特性で、
オニキスが瑪瑙の中でも特別な理由である。
平行な縞を持つ瑪瑙がオニキスであり、
様々な色のものがあるのだが、
何故か現在では黒一色のものだけを
オニキスと呼ぶ傾向がある。
黒一色、つまり、縞模様の無い
黒いカルセドニーである。
ブラックオニキスと呼称される。
縞が平行どころか縞が無い以上、
それは瑪瑙ですらないのだが、
どういうわけか、これがオニキスと呼ばれる。
そして、カルセドニーは人工的に
染色することが可能な鉱物なのだが、
わざわざ黒一色に染めて
オニキスにしてしまったりもする。
ややこしいが、現在のよくわからない風潮は
無視して、縞瑪瑙がオニキスということで
話を進めようと思う。
カメオと呼ばれる工芸品がある。
石や貝殻に浮彫の彫刻を施したものだ。
異なった色の層が存在する素材を使う。
例えば黒い層と白い層を持つオニキスを彫ると、
黒い背景に白い彫刻が浮かび上がることになる。
濃い色の方を背景にするのが普通だ。
何故なら石の層が半透明なため、
薄い部分は背景色が透けて見えるためだ。
貝殻のカメオが比較的安価で多く存在するが、
財産として貴重なものが求められるのは必然である。
このため、宝石である瑪瑙が素材として重視される。
だが、瑪瑙の多くは同心円状に層が形成されるため、
カメオを作る際に均一に彫ることができない。
だが、平行な層を持つ縞瑪瑙であれば、
カメオの素材として完璧である。
これがオニキスの価値を高める最大の理由だ。
カメオに加工されることが前提で、
オニキスという宝石は取引されてきたのだ。
なお、浮彫ではなく沈め彫りで加工された
カメオもあるが、これは厳密には
カメオではなくインタリオと呼ぶ。
インタリオの多くは彫った反対側の面を表とし、
石の中に映る像を鑑賞することになる。
カメオにせよ、インタリオにせよ、
職人の技術と審美眼が必要であり、
出来の良いものには大変な価値が付与される。
この出来の良し悪しを左右する要素のひとつが、
素材の層の状態であることは言うまでもない。
つまり、良いオニキスというものは、
カメオにした際により美しくすることが
できる石なのである。
ちなみに、オニキスのうち層が赤と白のものは
特別にサードニクスと呼ばれる。
紅縞瑪瑙だ。
前述のとおり、瑪瑙は着色が可能な鉱物だ。
そもそも自然状態で様々な色の縞があるのだが、
染色技術によってその幅が広がることになる。
それにしても、だからといってせっかくの縞を
黒一色にしてブラックオニキスと呼ぶのは
やはり理解し難い。
パワーストーンショップではオニキスといえば、
ブラックオニキスが当然のように売られている。
おそらく着色されたものだろう。
色が落ちる恐れがあるとして、
手入れの仕方に注意書きがあるあたり
間違いないと思われる。
そんなある意味まがい物とでも言うべきものに、
意志をブレさせないだの、出会いと別れを
ああだこうだとパワーを語られても
眉に唾を付けるしかない。
難癖付けても仕方がないが、このような
理由により、ブラックオニキスばかりは
お勧めすることができない石だ。
オニキスが欲しいのであれば、
素晴らしいカメオを探すといいだろう。
もちろん、見合った額は必要である。