フランスとスペインの境界線となっている山脈である。
イベリア半島の付け根を東西に走るこの山脈は、
古来、半島をヨーロッパと分断し、
別の文化圏を形成する一因となってきた。
ナポレオンも、ピレネーの向こう側は
アフリカだと言っており、
イベリア半島を非ヨーロッパと考える者もある。
他にも要因は多々あるが、世界大戦において
スペインが存在感を見せないのは、
この山脈によって分断されていたからでもある。
いや、書いていて思ったが、スペインの存在感が
無いのは大航海時代後半以降ずっとなので、
ピレネーの影響は小さいかもしれない。
ピレネー地域が歴史の舞台で最も注目されたのは
ウマイヤ朝イスラム帝国の時代である。
北アフリカを西進し、イベリア半島までも
支配下に置いた帝国は、当然のように
ピレネー山脈を越えてフランスへ侵攻した。
それを食い止めたのはカール大帝こと
シャルルマーニュである。
シャルルマーニュの伝説は数多いが、
やはり彼の配下である聖騎士、パラディンたちの
物語が有名であろう。
筆頭の勇士であるオルランド、あるいはローランは
騎士物語の花形で、本邦での知名度はあまりないが、
ヨーロッパでは非常に高い人気を誇る。
余談だが、某ゲームのオルランドが持つ聖剣は、
エクスカリバーではなく、
デュランダルであるべきではなかっただろうか。
史実のローランはイスラム帝国との戦いではなく、
その帰還中にバスク人との戦いで没しているようだが、
物語では異教徒相手に獅子奮迅の活躍を、
していたりしていなかったりする。
というのも、お話によっては色恋沙汰にかまけて
あまり前線に出ていなかったりもするのだ。
いずれにせよ、ピレネーで戦死するローランだが、
聖剣デュランダルが敵の手に渡らぬよう
破壊しようと岩に叩きつけたが刃こぼれひとつせず、
岩の方が両断されるというのが、伝説の中で
最も有名な場面ではないだろうか。
どうもヨーロッパ人は
武器に超常的な力を持たせるのが
好きなように感じられる。
アジアでは英雄は得物を選ばない傾向にあるが、
この辺りの文化の違いを考えてみるのも
面白いし有意義だろう。
今はその場ではないが。
そうだ、今はピレネー山脈の話であった。
まあ、これはこれでいいとしよう。
ピレネーはフランスとイベリアの境界。
あと、アンドラ公国がある。
以上である。