序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2020年1月6日月曜日

トウゾクサギ

盗賊鷺と書く。
鷺という鳥の仲間である。

大きさは丹頂鶴と同程度と大きく、
羽の色は一面青みがかった灰色、
羽以外は白と、青鷺に似ている。

トウゾクサギが他のサギと異なるのは、
体の大きさを活かして他の動物から
餌を横取りする点にある。

これが名前の盗賊の由来であることは
言うまでもない。

だが、近年の研究では餌の横取りは
頻繁に見られることではないという。

考えてみれば他の動物も餌の横取りなど
珍しいことではなく、
弱肉強食の自然界の掟のようなものだ。

では、なぜこの鳥がわざわざ盗賊と
名付けられたかというと、
どうも文化的な背景がありそうだ。

犯罪者が悪事から手を引くことを
足を洗うと言う。

これは元々、仏僧が裸足で出歩き、
寺に帰った時に、俗界の煩悩と共に
足の泥を洗い流すことに由来する。

煩悩を悪事に見立てて足を洗い、
悪党の世界、俗界との縁を絶つということだ。

さて、本題のトウゾクサギだが、
サギの仲間は通常、水辺で暮らし、
水の中に立って魚などを捕る。

だが、トウゾクサギは滅多に水に入らず、
陸棲の昆虫などを食べている。

それが時折、青鷺などから魚を奪うわけだ。
つまり、足を洗うことなく、
強盗を働くと見ることができる。

つまり言葉遊びではないかと思う次第である。
どうだろうか。

詐欺とも掛けられていそうではあるが、
残念ながらそうした説は聞かれない。

盗賊、詐欺ときたら何か関連付けられた
伝承でもありそうなものではあるが。

なお、同じように盗賊の名を冠した鳥に、
トウゾクカモメというものがいる。

こちらは空中で獲物を拐うように
狩ることからこの名が付いている。

強盗、というよりも誘拐である。