序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2020年1月3日金曜日

モンドリダケ

白い軸と黒いけば立ったような笠を持つ毒キノコである。

名前の由来は、その毒の強烈さにより、
もんどり打って倒れるから、というのは後付けで、
死に至るほどの猛毒は無い。

本来はモンドリダケではなく、
モトドリダケという名であった。

髻、もとどり とは、いわゆる ちょんまげである。
それも、鎌倉時代以前の烏帽子の下に隠された、
ただ、束ねただけのものである。

もんどりを打つとは、翻筋斗を打つと書くのだが、
これは宙返りをして、頭から地面に落ちることを言う。
思いっきり失敗している。

つまり、もとどりを打つから変化した言葉だ。
ひっくり返れば、髷を地面に打ってしまうわけだ。

ちなみに、翻筋斗は本来もどりと読み、
宙返りそのものを指す。

もとどり と もどり が混ざって、
もんどりを打つという言葉が生まれたということになる。

俗説かもしれないが、モンドリダケに関して言うなら、
その姿かたちは もとどり によく似ているため、
モトドリダケが、モンドリダケとなり、
もんどりを打って倒れるほどの毒がある
という話に繋がったのは間違いない。

モンドリダケの毒は少々腹を壊す程度で、
そんなアクロテバティックな動きを
強いるほどの激烈さは無い。

ただ、味はのけぞるほど美味いという説がある。

確かめる気にならないため真相は不明だが、
これも、もんどりを打つ理由として
後付けされたことではないかと疑っている。

いずれにせよ、山里付近の雑木林に生えるという生態上、
確実に数を減らしているため、
見る機会すらないかもしれない。