序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年2月22日木曜日

サポヂラ

中央アメリカにはサポヂラの木と呼ばれる樹木があるという。
その樹液は甘い。

サポヂラの木より採れる樹脂をチクルと呼び、
マヤ人はこれを煮詰めたものを噛んで嗜好品としていた。

ヨーロッパ人のアメリカ到達以降、
このチクルは広く知られるところとなり、
ガムと呼ばれる菓子の原料とされてきた。

甘く、長時間楽しめるこの菓子は、
腹の足しにはならないが様々な地域で愛好されている。

しかし、自然原料の安定供給には限度があるため、
現在のガムは合成樹脂である酢酸ビニルを原料とするものが主流である。

サポヂラには手のひらに収まる程度の大きさの果実が成るという。
その風味はキャラメルや綿菓子を思わせる甘いものだと伝え聞く。
見た目は馬鈴薯にも似る。

現地ではこのサポヂラの実もまた、嗜好品として流通しているが、
世界的に見れば珍品の類であろう。

私は幼少の頃、チクルは安物の菓子に含まれる有害な甘味料であり、
子供の歯を溶かすと脅されたことがある。
しかし、恐らくそれは大人たちの生み出したデマであったに違いない。