序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2020年7月6日月曜日

イノブタ

イノシシとブタの雑種である。

ただし、そもそもイノシシとブタは
同じ動物である。

ずいぶん違う印象を受けるが、
ゴールデンレトリバーとチワワが同じ動物で
あることを考えると納得できるだろう。

実際のところ、ブタを野に放つと
剛毛が生えて牙が伸びる。

牙に関しては家畜のブタも
本来持っているものであるが、
安全のために切られている。

野生化したブタが世代を重ねると
先祖帰りして完全にイノシシとなる。
このようにイノシシとブタは同じ動物なのだ。

ということで、イノブタという名前は
動物の種類の名前というよりも
ブタの品種の名前と言った方がいいだろう。

ただし、あくまで雑種である。
イノシシの種類やブタの品種によって、
その形質は変わってくる。

もっぱら食肉にする際の
肉質の違いで語られることになるのだが、
掛け合わされた品種によって違いがある。

このため一概に言えるものではないのだが、
一般的な豚肉に比べて
脂っこさが少なくコクが強くなる。

野生のイノシシを狩猟するよりも、
イノブタを繁殖させた方が手軽なため、
猪肉料理に代用品として使われる。

家畜としてのイノブタは
このようなものだ。

問題は家畜ではないイノブタだ。
逃げ出したブタと野生のイノシシの交雑により
野生のイノブタというものが存在する。

見た目はほぼイノシシである。
力強く、やや獰猛。
イノシシの性質そのままだ。

しかし、家畜のブタ同様に
著しく警戒心が弱い。

野生のイノシシはその警戒心から
人里に出てくることは少なく、
たまに出てくるとちょっとした事件になる。

だが、野生のイノブタは臆すること無く
人里へとやってくる。

農作物を食害し、場合によっては
人に怪我を負わせることもある。

やっていることはイノシシと同じだが、
人を恐れないという厄介な性質を持つのだ。

問題はそれだけではない。
本邦の法律上、野生のイノブタは
野生のイノシシとして扱われる。

何が問題かというと
無許可では罠にかけるなどの
狩猟を行うことが認められていない。

一部の地域では害獣として
多くの被害が出ており、
対策が求められている。