序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年10月15日火曜日

ヘクソカズラ

ひどい名前である。

果実が臭いためこの名が付けられた。
万葉集の時代からすでにクソカズラと呼ばれている。

カズラとは茎が蔓となり他の植物や
人工物に絡まる植物のことだ。

ラッパ状の花は名前とは裏腹に可愛らしく、
中央が濃い色をしているため、灸を据えたようだとして
灸花、ヤイトバナの別名もある。

この可愛らしい花と臭い果実を比較して、
屁糞葛も花盛りという言葉がある。

どういう意味かというと、残念な容姿の少女でも、
年頃になればそれなりに可愛らしくなるものだ
という失礼な物言いである。

さて、嫌なにおいのするヘクソカズラの果実だが、
実は薬効がある。

潰した時に出る汁が、しもやけ、ひび、あかぎれに
実際に効果があるのだ。

それだけではない。
肌に潤いを与える美容化粧水を作ることも可能だ。

もちろん、どちらも臭い。
化粧水にする場合は他の香料で誤魔化すらしい。

ちなみに漢語では鶏屎藤という。
鶏の糞の匂いのする蔓性の植物ということだ。
お隣でも事情は変わらないらしい。

なお、ヘクソカズラは匂いが不快なだけの植物ではない。
旺盛な繁殖力と巻き付く能力が高く、
放っておくと樹木まで覆ってしまうことがある。

鳥が実を食べ飛んでいき、その辺で糞をすることで
種が散布されるため、どこから生えるか分からない。

ガーデニングなど趣味の園芸を嗜んでいる者にとっては、
非常に厄介な植物なのだ。

万葉集には、クソカズラがしつこく絡みつくように、
いつまででも宮仕えをしたいという歌が載っている。

執念を感じる。